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最高裁判所第一小法廷 昭和62年(行ツ)137号 判決 1988年3月31日

愛知県豊橋市花田二番町三六番地

上告人

柴田隆治

愛知県豊橋市前田町一丁目九番地の四

被上告人

豊橋税務署長

田中成三

右当事者間の名古屋高等裁判所昭和六一年(行コ)第一四号所得税更正処分取消請求事件について、同裁判所が昭和六二年九月二九日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を破棄する。

上告費用は上告人の負担となる。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、ひつきよう、原判決を正解せず又は独自の見解に基づいてこれを論難するものであつて、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 四ツ谷巖 裁判官 角田禮二郎 裁判官 高島益郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 佐藤哲郎)

(昭和六二年(行ツ)第一三七号 上告人 柴田隆治)

上告人の上告理由

第一点 請求の趣旨による主争点は豊橋税務署長の更正処分に係る左の事業所得の取消しである。

昭和五六年分事業所得 四、三六二、五三三円

昭和五七年分同 四、九三九、一八一円

昭和五八年分同 四、九七四、四七四円

然るに本訴において、被上告人豊橋税務署長は自ら為した更正処分の右金額を否定し左の金額を主張した。

昭和五六年分事業所得 五、三三〇、八〇八円

昭和五七年分同 五、七八二、一四三円

昭和五八年分同 五、三七三、九八四円

この基本的な主張事実について、相違する両金額の関連性について明確な論理の過程の弁明がないので以後争点は不明化した。

これでは判決の主文も理由も理解できる筈はないのである。

この判決は更正に係る事業所得がどういう根拠と証拠に於て国税通則法第二四条が適用されたのかを主題として争っているのである。「これがその証拠である」というものが全く見当らないのである。合理性のない推計調査と称して、菅沼良安国税調査官が一夜にして打ち出した「千里眼、望遠鏡、サイコロ」と俗称される「思いつき」「あてづっぽう」計算である。同調査官が相当日時を費した調査資料があるならば、調査臨宅の際その資料の真否確認のため私との間で入念な質問応答が繰返へされる場面があつて当然であるがその気配は全く無かつた。

更正処分通知後において、後日仮に正確無比なる証拠が出現しても、更正処分の違法性が解消するものではない。

被上告人の主張する証拠はすべて後日のものばかりである。

加藤寛美証人は当時熱田税務署に在勤して更正処分時の調査との関与性はない。

以上は国税通則法第二四条の「その調査したところ」に関する違背事実である。

第二点 異議申立てに対する豊橋税務署長の異議決定書における事業所得は次の通りである。

昭和五六年分事業所得 四、七八〇、七〇〇円

昭和五七年分同 五、二八四、〇一三円

昭和五八年分同 五、〇九一、〇九六円

(乙第四、五、六号証)

右の決定は国税通則法第八三条第三項に違反し、かつ同法第二六条の処分について、同法第二八条の手続が欠落のまま、所得税法第一三八条第二項の規定に反してその差額税金を還付した。

さらに国税通則法第八章第二節第三款審査裁決においても対応がされていない。(乙第七号証)

以上の行為は国税通則法第一一五条に関する瑕疵事実として本訴まで持越されている。

第三点 左記は更正処分に伴う増加事業税額である。

昭和五六年分 一〇八、一〇〇円

昭和五七年分 一三六、九五〇円

昭和五八年分 一三八、七〇〇円

正規の会計学理論に基きそれぞれ当該事業所得から減算しなければならないがその処理がしてない。

建物減価償却費は二万一千円余と推認しているが数値オンチと云うべきで中古自動車一台でも一〇万円以上にはなる。

右は所得税法第二七条第二項違反事実である。

第四点 更正処分により増加した各年分の総所得から増差健康保険料の控除がない。

所得税法第七四条第一項の「支払った」とは申告納税制度を基調とする所得税確定申告書におけるその適用方法をいうのであって、国税通則法による更正処分という申告者の意思に反する変則的事例においては、その年分に対応した控除処理をしなければならない。

以上所得税法第七四条第一項に違反する。

第五点 税務関係諸法規による所得税法の正常な適用とは、申告納税制度における確定申告書の尊重によりその年分はその対応年内に処理することである。

国税通則法第七〇条第一項の規定は、無申告仮装隠蔽の発覚等専ら居住者側の責任に帰する事例に限られている。

直近年分でない、五六、五七年分について、推計調査を更正の証拠とせん場合漫然と経過せしめ居住者に無用余分な負担を掛ける不法な怠慢期間が付随している。かつ国税通則法第八章に関する救済規定の利益が充分機能しなくなり、憲法第三二条の権利も事実上喪失する。

第六点 被上告人らが確定申告書の申告所得額是非の判定は所得標準率表(経費標準率表)の数値を基準として上限(下限)の認識によつて処理されているが本件におけるその経費率は、事業税末算入、減価償却不足、健康保険料末控除等もあつて、給与所得控除率を下廻る、極端に逸脱した他に類例をみない不公平不平等不法差別である。故意と悪意に満ちた所得税法及び国税通則法第二四条の乱用は、憲法第一四条第一項に違反するところである。

正当な、私の税理士業務弾圧のための泥仕合は今後も応ずる。

(注)以上第一点より第六点迄、いずれも憲法第八四条に違反し、かつ民事訴訟法第三九五条第一項第六号に該当するものである。

以上

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